随分前に、「みよこ(スタイリストの岡尾美代子さん)とパンの本(ヒョードル)を出版することになってね、ロシアのハバロフスクへ撮影に行くんだけれど、ようこちゃん、私の作ったパンのストールとかばん、持ってたよね?ちょっと貸してもらえる?で、ロシアまで連れてっていいかな?」とスタイリストの大森伃佑子さんから電話があった。このパンのストール↑とかばん↓こんなの欲しい!こんなのあったら絶対かわいい!と思って自分でデザインして商品にし、たくさん作ってたくさん販売したのに、当の本人は何ひとつ持ってない。というこの感じ、すごくよくわかる。私もミナやエバゴス、ホームスパン、ネセセア、ヤブヤム、ミュベール、ルールロジェット、その他インポートブランドなどとたくさんこれまで別注やオリジナルを作ってきた。こんなのあったらいいのに。絶対可愛くなるはず!と思い付いたら、一休さんのとんちが解けた時のあの音が、頭の上でチーン!と鳴って、すぐさま各ブランドのデザイナーさんにお願いの連絡をしてみる。そうしてやっと約半年後に商品となり店頭に並び、お客さまがかわいい、かわいいと言って下さるのを見てとても嬉しくなって、完売となる。しかしその後、もうあれはないんですか?と悲しい顔で店頭で問われると、つい自分の分と思って置いていた最後の1個を、「あ…今ちょうどキャンセルが出ました。」と言ってお渡ししてしまうということがよくある。大森さんもきっとそういう事だったのだろうと思う。自分がいいな、と思って作った物を誰かがかわいいと共感してくれたら、嬉しくってきっと誰だってそうしてしまうだろう。半年前のエバゴスの展示会で、ギンガムチェックのブラウスがあった。見た瞬間、この生地で大判のスカーフと、かごバッグのかぶせを作ったら絶対かわいくなるはず!そう思ってデザイナーの曽我部さんにお願いしたものが先週やっとお店に届いた。 並べたその日からお店でとても人気でもう残りわずかになってしまった。大好きなギンガムチェック、しかもエバゴスオリジナルのファブリック。となると自分用に大判ストールをしっかりとキープした。”キャンセルしません。絶対買います!”と今回だけはそんな注意書きのメモまで貼ってスタッフ購入予定BOXに押し込んだ。じゃないといつも、「お客さまでどうしても欲しいという方が今いらっしゃってて、全店完売しててメーカーにも在庫がなく、今、スタッフキープBOXをみたら陽子さんがキープされてるのが1枚だけあって…これ、買います?キャンセルしません?」という、この子はもしかしてかわいい顔をした鬼か?と思うような恐ろしい相談の電話がちょくちょくかかってくるからだ。その後、街中などでそれを持ってる方や着ている方を見かけてそのかわいさを再認識し、今まで何度と泣いてきたことか。ギンガムチェックというと、ブラック×ホワイト・レッド×ホワイト・ブルー×ホワイトが定番だが、私は断トツでブルー×ホワイト派。この清々しさにくらくらして、一発でノックアウト!だ。