ケガや病気をしてはじめて、健康であることがどれだけ恵まれていることなのかを知る。自然災害を経験してはじめて、何でもない平凡な日々がどれだけ幸せなことなのかを知る。失ってはじめて、それがどんなにかけがえのないものだったのかを知る。

私の住む神戸も大きくは報道されていないがこの度の豪雨で山崩れが起こり、家に土砂が流れ込んでしまった地区が数ヶ所ある。夫が長靴を履きシャベル・スコップを持ってお手伝いに行ったが帰ってくるなり「色々もどかしい問題が山積みでこれは大変だ…」と。この厳しい暑さの中、身体的にもまた精神的にも大変な苦労を強いられている方々が大勢おられると思うだけで胸がぎゅーっと締め付けられる。

神戸の見慣れた街並みが、一瞬で見たことのない景色に変わったあの震災から23年が経った。ずっと神戸で働いている私は、この23年間、多くのお客さまから沢山お話しを聞かせて頂いた。「そやけどそんなんばっかりゆうとっても、らちあかんしなぁ〜。」と最後は必ずみなさんそう言われて、笑顔で手を振って帰って行かれたのを思い出す。

どうか大変なおもいをされている方々が、1日でも早く心穏やかに過ごせる日が訪れますように。そして1日でも早く笑顔が戻りますように。