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当店のホームページのオンラインショップ、またお店に足をお運び頂き、mina perhonenの商品をご覧くださっておられるお客さまにお知らせがございます。

ミナの皆川さんより、全ての卸先さん(セレクトショップ)に向けて2019年秋冬コレクションからホームぺージのカートを外してほしいというお願いがありました。7月末から店頭に並びはじめる秋冬コレクションより、お取り扱いさせて頂いておりますエバゴスと同様、一度お客さまにお問い合わせをいただいてからお買い物(通販)をしていただくという形に変更となります。ご利用いただいておりますお客さまにはお手間をおかけしてしまい大変心苦しいのですが、皆川さんの意向をご理解いただけますと幸いです。子供服とインテリア雑貨は今まで通りカートをご利用いただけます。

また、パートナーショップである当店では、これまで受注会を開催しておりましたが、こちらも意向により2019秋冬の受注会は行いません。それに伴いホームページでの先行予約もございません。

皆川さんは、2019年秋冬コレクションから直営店以外の取扱店を大幅に減らす考えである事を、現在の全ての卸先さんへ伝えられました。今後もうミナの商品を並べることができなくなってしまうの……?と不安な日々を過ごしました。程なくして展示会の案内状が届き、そこで直接皆川さんよりいくつか変更点がある事をお聞きしました。そして先月、セレクトショップでの2019秋冬の受注会を、今回は今後お店の店頭にミナの商品が並ばないショップさんだけで行います、ということを伺いました。

ここまでお読みいただいて少し戸惑っておられるお客さまも多くいらっしゃるかと思います。私達スタッフもミナからお話を伺った時はとてもびっくりしました。今お伝えした事以外は何も分からないのですが、しかしお客さまに現時点で私達が知っている事だけでも早くお伝えすることが先決だと思い、お知らせさせて頂きました。

卸先縮小の理由の1つとして、ミナペルホネンの特徴でもあるファブリックは皆さまがご存知の通り、通常の何倍もの時間と労力を費やして生産されています。毎シーズン未知の挑戦でもあり、これらは熟練の職人さんなしでは創り得ません。しかし日本の職人さんの高齢化と後継者問題。粗悪でも安価な物が多くの人々に好まれる風潮の中で、工賃の安い海外の工場に仕事が流れ、腕のいい日本の職人さんの仕事が奪われるなど工場の抱える問題は深刻です。同時に日本の技術伝統も失われつつある現状にミナ ペルホネンのデザイナーである皆川さんは危機感を覚えています。

皆川さんが来シーズンのコレクションを考えられる際、刺繍工場、プリント工場、織り工場、縫製工場…の方々が仕事がないということを避けるため、お付き合いのある工場が1年中、機械が止まることなく常に動いていられるようにデザインを考え、働いておられる方々が安定した収入を得られるよう配慮されています。そうした取り組みをすることによって、高い志をもった国内の良い工場が廃業する事なく、良い商品をお客さまにお届けすることが出来ます。皆川さんがいつも言われている、着る人はもちろん、それを作ってる人も幸せでなければ。という強い想いが実現されます。以前にも増して国内の物作りの現状は厳しくなっており、それにより大幅な納期遅れなどお客さまにご迷惑をおかけする事が年々増えて参りました。大量生産、大量破棄、それによる自然破壊というアパレル業界に蔓延している問題に意義を唱え、必要な分だけを大切に心を込めて作り、本当に必要とされているお客さまの手にお届けできることを願い、このような道を選択されました。

時々、直営店とセレクトショップの違いってなに?と質問されるお客さまがいらっしゃいますので、この機会に少しだけ説明させていただきます。分かりやすく例えると、お野菜を作っている人が自分の畑でそのお野菜を販売しているのが直営店。道路の側にお野菜が入っている自販機を見かける事がありますね。あの自販機も直営店、という事になります。一方、作ったお野菜を農協や道の駅に持って行ってそこで売ってもらう。もしくは、畑にスーパーのお野菜の仕入れ担当者が来て、あなたのお野菜はとても美味しいからうちのお店で置かせてください、とお願いされてお野菜を卸しているスーパー。それがお洋服屋さんでいう、セレクトショップということになります。スーパーには、〇〇さんのほうれん草、〇〇さんの大根、というようにいろんな人が作ったお野菜が置いてあります。同様にセレクトショップには、ミナペルホネンのお洋服もあるし、エバゴスのバッグもあります。直営店は、メーカーが自分達で販売しているお店。セレクトショップは、メーカーさんから仕入れて販売をしているお店。という違いになります。

職人さんの高齢化による廃業という点では、私の父の会社も例外ではなく、その素晴らしい技術をずっと絶やさず、跡に引き継ぐという事がどれだけ大変な事か身に沁みて感じています。機械も環境も全て整っているのに、それを引き継ぐ人がいないという現実と、私では力不足でどうしようも出来ないという歯がゆさ、幼い頃より幾度となく通い思い出がたくさん詰まった父の仕事場がなくなって欲しくないという想いが入り乱れます。

素敵なお洋服の裏側には、それを作っている素晴らしい技術を持った方々がいる事によって成り立っているという事。物づくりの背景を知るという事は、自分たちの国を知るという事でもあります。

着る人も作る人もみんな幸せであってほしいという想い。物を作りそれを売りそれを買うという一連の流れの中で、立場の強い人と弱い人がいるというのはおかしな話だし、みんな幸せであるべきと思う事はとても自然な事。全ての意味においてフェアトレードでなければ持続可能は難しい。何事も少しづつ改善されそれが当たり前となるのは一人一人の意識の持ち方次第なのだと思う。この先、自分が産まれた時より少しでもいい状態にして、次の世代に引き継いでいけたらいいな、と思う。

これまで通り7月末頃からミナ ペルホネン秋冬コレクションが、キャズエドゥミ、キャズエドゥミ ル パサージュ、ラ ヴィオレットの店頭に並びます。キャズエドゥミ20周年記念のお洋服やバッグの企画も進んでおります。こちらもどうぞ楽しみにお待ちくださいませ。詳細が分かり次第お知らせいたします。

いくつか変更点がありご不便をお掛けいたしますが、国内の生産現場の現状をどうかご理解頂き、温かく見守っていただけましたら幸いです。

これからもどうぞミナ ペルホネン、そしてキャズ エ ドゥミ、キャズエドゥミ ル パサージュ、ラ ヴィオレットをよろしくお願いいたします。

バイヤー兼オーナー 石原 陽子