お客さまに、海とは程遠い人という風になぜか思われてるようなのだけど、私は海が大好きだ。海をぼーっと見てるだけでほぼ全ての悩みがどうでもよくなってくる。

初めてしたアルバイトも海の家だった。学校はアルバイト禁止だったけど、遠い学校に通っていたので先生に見つかる心配もないし、なによりお洋服が欲しかった。夏休み、部活のテニスの練習がない日はひたすらアルバイトをして、昔は日焼け止めを塗るとか、帽子をかぶるとか、そういう概念が世の中的になかったので裸になってもタンクトップとショートパンツを着てるみたいに真っ黒に日焼けしていた。夏が終わり人生初めてのアルバイト代で買ったのは、コムデギャルソンの真っ白のワンピース。17歳の頃と好みが変わっていないという全くのブレ知らず。

海の家のアルバイトは、これまでの人生で経験した職場でトップ3に入る、とても辛い職場だった。人生で初めてのアルバイト。炎天下の中、行列が出来てもかき氷を1人でひたすら作り、昼間っから飲んで2時間くらいお店に居付いてる酔っ払ってるおじさんに「姉ちゃん!ビール!」と声をかけられる度に怖くてビクビクしていた。私の他にいるのはその店のオーナーの怖いおばさんだけ。辞めるにも、母に”高校生でも雇ってくれる所を探してきて。”とお願いして見つけてきてくれた母の知り合いの知り合い、とかのお店だったので簡単に辞める訳にも行かず…。日々、「忍耐」そのふた文字だけで乗り切った、地獄の6時間、地獄の夏休みだった。

夏休みが終わり(確か時給550円くらいだったような記憶が)始業式の日にお給料を貰いに行き、次の日に貰ったお給料でギリギリ買えたギャルソンのワンピースを家で試着していると、横を通りがかった母がちらっと横目で見ながら通りすがりに「そういう可憐なワンピースは、色白で細くて背の高い、お姉ちゃんみたいな人が似合うわね。」とだけ言い残して去っていった。

わたしのひと夏の汗と涙の結晶は、その一言であっけなく散った。姉は運動が嫌いで絵が上手。ピアノは4歳から高校を卒業するまで続けていた、いわゆるインドア派。そしてびっくりするくらい色白だ。

ハイジには、ハイジにしか似合わない物がある。そして、ハイジが似合う物は、クララには決して似合わない。真っ黒に日焼けしたハイジな私には、可憐な真っ白のギャルソンのワンピースは違っていた…。

いろんな失敗を経て、自分に似合う物が分かるようになった。

先日、トリコ・コムデギャルソンのサロペットとグレーのトレーナーをキャズエドゥミ ル パサージュで買った。鏡に映る自分を見ながら、このギャルソンなら大丈夫。と、これまでの経験を生かし、自信を持って購入した。

各店舗には様々なブランドから秋物が続々と届いています。 

イヤリング(フランス デッドストック)ブラウス(ルールロジェット)サロペット(チャイルドウーマン)

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