原宿のキャットストリートにできたTiffanyはカフェも併設されていて百貨店のあのちょっと敷居が高い感じを払拭した、もっと気軽で入りやすいショップになっている。私のこれまでの人生の中で、真っ白のサテンのりぼんで結ばれたあのブルーの小箱をポケットに忍ばせ、絶妙なタイミングでさっと差し出されるという、片ひざついて薔薇の花を一輪差し出される、の次に超絶に恥ずかしいけど一度くらいは味わいたいシュチュエーショントップ2を経験する事はなかった。80デニール以下のタイツしかはかない、基本ストッキングにヒールの綺麗系スタイルを貫く妹に、「陽ちゃんって、普通にしてたらもうちょっとあれだったのに…」と何度か残念がられた事があるがその、あれ、というのはそういうシュチュエーションを経験したかもしれない確率がぐっと上がる、という事を意味していたんだと思われる。イケメンをゲットするという戦いの場に参戦せず、いくさが始まる前から完全降伏するというスタイルを貫いてきた者にとって、このティファニーブルーはあまりにまぶしすぎる。直視したら胸に矢が刺さり倒れてしまうと思っていた。が、その代償としてフリースタイルでおしゃれを楽しめるという、この上ない特典を獲得し、日々謳歌している。店内にあるインスタ映えスポットで撮りあいこしてる20代前半くらいの若いカップルがいたので、「よければお撮りしましょうか?」と声をかけて、2人を撮ってあげた。戦場でいくさの真っ最中なその彼女に、頑張れ!頑張ってそのシュッとしたかっこいい彼に青の小箱をもらうのだよ。と心の中で両手で持った大きな旗を振って、フレー!フレー!とエールを送った。戦場に立つ前に降伏した私のような者は前線で戦っている彼女たちを応援することくらいしかできない。“一度くらいは味わいたいかもシュチュエーション”の第3位に滑り込こむのは、ロミオとジュリエットの名場面、2階のベランダにいるジュリエットにロミオが愛の告白をするシーンだろうか。いや壁ドンも捨てがたい。頭ぽんぽんもいいな…。て、なんかちょっと朝から頭がどうにかなっているようだ。昨日の夜、髭男やback numberの曲を息子がノリノリで歌っていたのを傍で聴いていたからだろうか。アオハル、いいな。最高だね。ティファニーカラーの自動販売機。へー、これで香水が買えちゃうんだ。とうとう自販機でティファニーが買える時代になったのか。

キラキラすぎて直視できないでいたティファニーだが、そんなシュチュエーションをじっと待ってるより、こつこつとティファニー貯金をして、自分で好きなものを買う方がよっぽど時短で確実だ、と20代前半の早いうちからサジを投げてしまったという経緯があるので、この20数年に及ぶ長いティファニーブルーの呪縛を解くために、今年のお誕生日には自分で何か1つ買うべきだろうかと思い悩んでいる。