先の見えない自粛生活。予定がすべて狂い、新店舗の海外買い付けはおろか、ショップが休業状態にも関わらず、各ブランドから春夏の新作が入った段ボールが大量に届く日々。ため息と共に箱を開けるが、次から次へと出てくる出てくる、かわいいお洋服やバッグたち。半年前から入荷を心待ちにしていた物たちだ。なんとも複雑な気分である。お酒が飲めない私が、ぱーーーっとしたい時はこれ。家には500枚くらいのCDがあるがほぼ半分は、はたちくらいの時に買ったものだ。写真のCDはロンドンのHMVで買ったもの。アルバイトをして貯めたお金で友達と行った1ヶ月の学生貧乏旅行。クラブクアトロやファンダンゴなど毎週のように行っていたが、それでは飽き足らず、インターネットも何もない時代に往復の飛行機のチケットだけを持って、リュック1つで旅に出た。両親にいうと絶対に反対されると思ったので、明日経つという日の晩に「ちょっと1ヶ月ロンドンに行ってくるから。」とだけ告げて。携帯もない時代。ホテルに泊まるつもりはなかったので、両親から連絡をする手段はなし。せめて週に1回必ず電話をかけてくる事。という唯一の約束さえ途中からは破ってたなぁ…。というのも、日本までの通話料金が3分1000円の時代である。何しろ少ない所持金ゆえ、お金を浮かすためにランチ抜き生活をしてる中での通話代の1000円は痛い。でもこの歳になって自分の子供があと1.2年で大学生になるという親になってみて初めてわかる。お父さん、お母さん、きっとすごく心配をかけたよね。ごめんね。でも今、ロンドンのクラブで最新の曲としてDJブースから流れていたソニックユースやニルヴァーナではしゃぎまくった思い出の曲を聞いて、憂鬱な気分を吹き飛ばせている。私の根底にあるグランジロック魂がめらめらと燃え、このどうしようもやるせない状況に、真っ向から戦う勇気を与えてくれる。永遠に続くトンネルなんてない、出口はきっとある。今はそう信じてグランジ魂を胸に前へ前へと進むだけだ。

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