もうすぐ2021年が終わる。12月で会社を立ち上げて22年と8ヶ月が経つ。いろんなセレクトショップでショップスタッフとして、店長として、またバイヤーとして勤め、私だったらこうするのに…。どうして〜しないのかな?もっと〜だったらいいのに。という想いがどんどん募り、27歳の時に神戸で1番古い洋館、海岸ビルヂングに3 ET DEMIをオープンした。

自分のお気に入りだけのかわいい商品に囲まれて、気が合う子だけを集めて毎日一緒に楽しく働いて、その世界観に共感し理解してくれるお客さまだけに来て頂いて、物も人も好きなものだけに触れて関わって日々ハッピーに過ごしたいな。

なぁーんて夢みたいなことを本気で思っていた22年前。その夢見心地な小娘に向かって、ビシッとひとこと言ってやりたい。

「甘い!鼻で笑っちゃうほど甘い。あなたはこの先、次から次へと悲しくて理不尽で悔しくて消化しきれないもやもやと1人で戦っていくことになるから。どうしようもない気持ちを抱えて寝る夜を幾度も迎え、純粋無垢だったあなたも22年後には、”なんだか最近貫禄が出てきたわね”なんて、かわいいを目指すあなたが1番言われたくないような言葉を言われるようになるんだからね。しっかり覚悟しときなさいよ!」って。

その小娘はオープン早々、”かわいいだけを食べて人間は生きてはゆけない”ということを嫌と言うほど知ることになる。

全く理解できない思考で生きている意地悪な人たちも少なからずいるこの世界で、できる限りそういう人たちに心乱されずに愛ある人だけに囲まれて心地よく暮らせればそれが1番良いのだけれど、なかなかそう簡単にはいかない。

辛くて悲しい事もある世の中だからこそ、そんな世界に傷ついている心優しい人たちに、夢見心地な気分や、嬉しい、楽しい、わくわくする、といった感情も商品と一緒に提供できる場でありたいと願っている。

私が9歳だった頃に出会って以来、ずっと心のベストテン第1位の絵本。(2位にモチモチの木、が続き、作 斎藤隆介・絵 滝平 二郎さんの絵本がツートップをしめる)

本当は新しいべべ(洋服)が欲しいのに、妹のために我慢するお姉ちゃん。

私はこの頃から、相当な服好きだったんだなぁと今になって知る。もしこれが、本当はおいしい団子を食べたかったけど、妹がもっと食べたい、もっと食べたいと泣くので我慢して自分の分も譲ってあげた、というお話だったらここまで私の心に響いてはいなかったのではないかと思う。

だって1年ぶりに買ってもらえる新しい洋服だったのに、また来年まで新しい洋服を我慢する事になるなんて。辛い、そんなのもう、めちゃくちゃ辛すぎるじゃないか。泣。いろんな辛い経験を経て、貫禄が出て来たと言われるまでになったけれど、どんな時でも「あ、今、あの山に私のお花が咲いたかな?」と思える心を持ち続けて日々過ごしたいと思っている。みんなの優しい気持ちで、花さき山にたくさんの綺麗なお花を咲かせられたらいいなぁと思う。

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