新刊です。生き方と仕事の哲学本。街の大きな本屋さんや、つづく展の会場でも購入できます。立ち上げの準備期間、会社が軌道に乗るまでの険しい道のり…。私のことが書いてあるの?と思ったくらい同じ境遇だった。アルバイトをし、食費・光熱費をとことん切り詰め、資金を貯める事だけにただただ専念した。また同じ事を今からしろと言われたら出来る自信はないけど、夢に向かって突き進んでいたあの頃の自分に悲壮感はなかった。家族や友達に甘えたり相談したりしたらピンと張った糸が切れてしまいそうで、自分が進もうとしている道は間違っていないんだ、と自分自身に言い聞かせ、自分を信じバリアを張って、誰も寄せ付けないようなあの頃はそんな所があったように思う。そんな、自分がこうだ!と思った気持ちのまま勢いで進むことが出来るのも若さゆえの特権でもある。ファッションの世界に行きたいと18歳の皆川さんが父に告げたとき、「お前はそんなことをしたって無理だ。サラリーマンになればいいのに」と言われたように、18歳だった私も勇気を振り絞り、ファッションの勉強がしたいと母に告げたが、賛成も協力も得られなかった。母は全ては釣書にどれだけ見栄えするように書けるか、ただそれだけの為の人生を私に送らせようとしていた。条件のいい人の妻になる事、これこそがあなたに課せられた人生最大のミッションだと言わんばかりに。 親が子に望む、”将来、安定した生活を送る事が幸せ”というものを誰もがそう感じる訳じゃない。退屈で心が死んでしまう人だっている。自分で決めた事で失敗してもそれは学びとなりやがて力となる。人の意見を優先し失敗した場合、残るのは恨み辛みでしかない。これに興味があるんだと、やっと自分のやりたい事を見つけた、だけどでもどこかでまだこれで本当にいいのだろうかと迷いもある中、目の奥で弱々しくもめらめらと燃やしている灯火を立ち消すような、”僕は、私は、これでやっていくんだ!”と勢いづいている若者の妨げをするような、私はそんな大人にはなりたくない。不安な気持ちを押し殺し、大海原へ小さな船で進もうとしている者へ、優しく背中を押す存在でありたいと思う。

兵庫県立美術館

「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」展

11月8日まで。

平日の夕方は比較的空いていてゆっくり観覧できます。つづく展、まだ行かれていない方はぜひ。

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