春に行ったイタリア。ミラノ初日、空港から中央駅までバスに乗り、そこから郊外にある1週間お借りする事になっているお家までタクシーで向かった。タクシーのお兄さんは、とにかくノリノリで、むち打ちになるかと思うくらいの急発進で出発したかと思うと、行って欲しい住所を言うも、声がかき消されてしまうほどの爆音で音楽をかけて、一緒に大熱唱している。中学生の息子は苦笑いしながら耳を押さえている。曲がる時はどこかに掴まっていないと頭を打ちそうになるし、細い道も猛スピードで行くので、怖くて見てられず両目をつぶってしまったほど。日本ではまず考えられない。だけどかけてる曲がとても良かったので、叫ぶように大声でいい曲だね。これ好きよー。というと、だろー?!イタリアのバンドなんだけど、めちゃくちゃイケてんだよ!という。お兄さんは嬉しくなってしまって、猛スピードを片手で運転しながらごそごそ探し物をして、バンド名と曲名を教えてくれようとするので、あー、余計な事いっちゃったなぁと後悔した。こういうのが好きってことは、NIRVANAやSONIC YOUTHなんかも好き?って聞くと、おぉー、大好きだよ!というので、私ライブいったよ。というと、バッドガールだ、彼女はバッドガールだ!と、夫に何度も言っていた。グランジ、オルタナ系の音楽を聴いているからといって、彼が言うように私はバッドでもないし、ましてやもうガールでもない。ミラノでは、毎日トラムに乗って地下鉄がある駅まで行き、移動していた。線路には、石ではなくて草が生えていて、あまりにものどかな風景で、待っている間もしかして向こうからトトロの猫バスみたいなのがやってくるのでは?と、ちょっと期待してしまうようなファンタジックさがある。

トラムの切符は、日本でいうタバコ屋さんみたいな所や大通りにあるキオスクみたいな所で買ってから乗らなくてはいけない。しかもそのお店が駅のすぐそばにある訳ではないので、いちいち寄ってからなのでかなりめんどうだ。しかも乗る時も降りる時も、誰もチェックしに来ない。たまにチェックする人が乗っていて、その時に切符を持っていなかったら、通常料金の15倍とか20倍とか払わされるのだという。なんというシステム…。駅に自販機を取り付けるか、バスのように運転手さんのそばに料金箱を取り付けるか、なにか方法はあるでしょう…。それを聞いていた息子が、「そこを改善すればみんなきちんと切符を買って乗車するようになるから、こないだのようにお客さんに迷惑かけてストするような事もしなくても済むんじゃないんかな。買わずに乗っている人の分をきちんと回収することをまず考えたらと思うけど…」とポロリ。ほんとにね…でもそういう感じだからこそ、日本人ではちょっと考えつかないような奇抜なデザインだったり、思いつかないような素敵なデザインの物が生まれたりするのだろう、とも思う。